2014/2/13

ECサイト構築のためのRFP書き方マニュアル【無料チェックリスト付】



エクセルシート(XLS)をダウンロード
ECサイト構築のRFP作成チェックシート(.xls版)はこちらからダウンロードできます。


ECサイトを新規オープンしたり、既存システムをリプレースする場合、まずどんなECサイトを構築したいのかをまとめる必要があります。この文章をRFP(Request for Proposal:提案依頼書)と呼び、開発会社はこのRFPをもとに見積もりを作成します。

ECサイト構築で失敗する主な要因の一つとして、RFPを作成していないことやRFPに抜け漏れが多いことなど、システム開発に入る前のRFP関連が挙げられます。

RFPに入れるべき項目や、何をどこまで具体的に書けばいいのか、必須要件と要望はどのように分ければいいのかなど、RFP作成のポイントをまとめました。

※ダウンロードできる資料は、RFP作成時のチェックリストです。最低限これだけ埋めれば大丈夫という内容をまとめました。また、「RFP記入例」の欄を埋め直せばRFPのひな形としてもご活用いただけますので、自社にひな形がなく困っているという場合にはぜひご利用ください。

目次


RFPは「開発会社から良い提案をもらうため」に作成する

RFPとは?

RFPとは、ECサイトに限らず、情報システムの開発や導入を行うにあたり、開発会社候補に具体的な提案と見積もりを出してもらうために作成する文書です。必要とするハードウェアやソフトウェアの概要や構成要件、予算、希望する納期などを記載します。

作成したRFPを開発企業候補に渡し、各社から提出された提案書や見積、プレゼンテーションの内容を比較検討して、どこに発注するかを決めることになります。


なぜRFPを作るのか?

RFPは、「最終的にこんなシステムにしようね」と、依頼者と開発者で共通認識をもつために作成します。

もしRFPを作成せず、口頭での見積依頼になった場合、
  • 開発企業候補ごとに説明する内容がブレて、各社の見積を比較できなくなる
  • 必要な機能を伝え漏れてしまい、もう一度説明し直すことになる
  • 開発会社がメモを取りきれず、提案から重要な機能が落ちてしまう
  • 実際に開発を進めていくうちに、「何のためにシステムを開発するんだっけ?」と目的が分からなくなってしまう
  • 開発途中で、「見積依頼時に言った」「聞いてない」とトラブルに発展してしまう

  • などが起こってしまうことが考えられます。

    RFP作成の段階で詳細な機能にまで落とし込まれている必要はありませんが、「何を・いくらで・いつまでに・なぜ」ほしいのかは基本的な事項としてまとめておきましょう。
    システム開発の背景と概要、予算がわかれば、開発会社は自社の強みに合わせて最適な見積もりを作成することができ、依頼者側も各社の提案をもとに比較検討がしやすくなります。


    どうやってRFPを作ればいいのか?

    RFPの形式は企業によって様々です。ワードで箇条書きにまとめられていたり、エクセルで要件ごとにまとまっていたり、パワーポイントで画像を多用し作成されていたりします。

    RFPマニュアル 1.概要


    プロジェクト概要

    ビジネス概要

    会社概要や、事業内容、ビジネスについての概要を記載します。

    (例)弊社では、●●●(http://●●●●●.jp)というファッション通販サイトを運営しています。

    (例)弊社では、業界ではじめてSPA方式を採用し、手に取りやすい価格で高品質な衣服を提供し続けてきました。ショッピングセンターを中心に、日本全国に約200店舗を展開しています。5年前からネット通販にも取り組み、今では売上全体の25%がECサイト経由となっています。


    プロジェクトの背景、目的

    プロジェクトを検討している背景について記載します。売上や会員数、業務効率化の具体的な目標数値があればそれも記載します。

    (例)自社にて3年前から運営しているECサイトが立ち上げ時の想定売上にいたらず、サイト単体としては赤字の状況が続いています。取扱商品を充実させ、顧客の利便性を向上させることで売り上げを伸ばしたいと考えています。

    (例)現行のECシステムでは、商品ごとにモール展開をしており、EC経由で年間2億円の売り上げがあります。モール全体の利便性を向上させれば、EC誘導策により大幅な売上向上が見込めます。具体的には、ECサイト経由の売上を、1年後に5億円、3年後に15億円を達成したいと考えています。

    (例)将来的には、ECサイトと直営店との顧客データ、商品データ、在庫データ、購買履歴等を統合管理したいと考えています。

    事業規模・売上規模

    プロジェクトを検討している背景について記載します。売上や会員数、業務効率化の具体的な目標数値があればそれも記載します。

    (例)取扱商品は主に健康食品や無添加食品です。スキンケア専用の化粧品も展開しています。商品SKUは約100点です。

    (例)顧客層は45~70歳くらいが中心で、男女比は5:5程度です。9割のユーザーが定期購入を利用しています。高齢者が多いため、サイトの利用方法や商品についてのお問合せが電話でくることがあり、オペレーターが1時間も付き合う場合があるため、この業務コストも削減したいです。

    現行システム概要

    現行システム構成図

    ユーザーインターフェース、管理画面、外部連携など、現行システムの構成図があれば記載します。現行のシステムがある場合には、開発ベンダーからの当時の提案書や成果物にアプリケーション構成図やネットワーク構成図があるはずなので、それを添付するのでもOKです。

    現行システムの課題

    現行システムの課題について記載します。情報システム部門、マーケティング部門、サービス運営チームなど、関連する部署全体にヒアリングしてまとめます。

    (例)PC版、モバイル版で異なる開発環境になっているため、改善したいです。

    (例)ドメインを含めて、サイト名称を整理し最適化したいです。

    (例)複数のECサイトを運営しているが、管理画面が異なり作業効率が悪いです。

    (例)商品検索~検討~購入というフローの中で、購買意欲を後押しする機能を強化したいと考えています。


    RFPマニュアル 2.提案依頼事項

    提案対象範囲

    提案システム範囲

    開発会社に提案を依頼するするシステムの範囲について記載します。図になっていると、依頼者と開発者側の意思疎通がよりスムーズになります。

    (例)ご提案いただきたい範囲は、「通販システム」に関する領域です。

    (例)ご提案いただきたい範囲は、「通販システム及び売上管理システム」です。倉庫管理システムは現行のものを使用する予定です。

    要求一覧

    要求機能一覧

    新システムに求める機能一覧を記載します。多数ある場合には、別のエクセルなどにまとめて添付します。「やりたいこと、実現したいことはあるけれど、どんな機能にすればそれを実現できるのかわからない」という場合には、新システムで叶えたいことを具体的に記載し、開発会社からの提案を見ながら検討を進めます。

    複数の部門がシステムを使用する場合には、関係部署すべてにヒアリングをすることをおすすめします。あとで「この機能がほしかった」となっても、大掛かりなカスタマイズが必要になるなど、想定外の費用がかかる場合があります。

    機能要件には優先順位をつけましょう。開発予算と期間によっては、すべてが実現できるわけではありません。
    (例)A…必須要件、リリース時には必ずこの機能が必要
       B…必須要件だが、リリース当初には間に合わなくてもOK
          (ただしできるだけ早く実施したい)
       C…必須要件ではないが、将来的には実施したい
       D…要望レベルだが、予算内で可能なら提案してほしい
       ×…不要(現行システムにはあるが、新システムでは不要)

    非機能要求一覧

    新システムに求める非機能一覧を記載します。多数ある場合には、別のエクセルなどにまとめて添付します。
    「非機能」とは、受注管理やポイント管理といった”機能”以外で実現してほしいことです。サイトレスポンスの精度や、対応ブラウザ、サーバの稼働率、冗長性、規模、セキュリティ対策、開発環境、運用要件についてなどを記載します。

    (例)ECサイトの画面応答時間は、約3秒以内としてください。

    (例)セキュリティを意識したサイト構成としてください、クレジットカードの番号は保持しません。

    (例)クラウドサーバーでの運用を絶対条件とします。


    見積条件

    概算の予算を記載します。また、見積パターン等、開発会社から提出を依頼する見積に関して、指示があれば併せて記しましょう。

    (例)予算は3000万円です。デザイン費と1年間の保守費用を含んでいます。

    (例)見積もりは「導入フェーズ」「運用フェーズ(ランニング)」に分けてご提示ください。

    (例)成果物について、想定される内容を記載してください。

    プロジェクト

    プロジェクト体制図

    プロジェクト体制に関する記載を求める場合は記載します。

    (例)提プロジェクト開始からリリースまでの、貴社のプロジェクト体制を明記してください。PMの氏名、経歴、経験年数、保有資格等と、各メンバーの役割やスキルレベル、人数をご提示ください。

    (例)当社では、プロジェクト責任者として情報システム部の鈴木、プロジェクトメンバーとして情報システム部山田、高橋とEC事業部の佐々木が参画します。


    スケジュール

    希望するリリース時期、納期について記載します。

    (例)リリース時期は2014年10月を希望します。

    (例)2014年5月末頃:新ECサイト、フロント部分オープン
       2014年10月末頃:新ECサイト、基幹システム連携
       (※必要な機能やコンテンツの追加は随時)


    RFPマニュアル 3.提出物

    提出物の条件

    提出物に関する記載

    提案に際し、必要な提出物について記載します。

    (例)ファイル形式はパワーポイントでお願いします。想定している納品物、成果物について記載してください。

    (例)提案の締め切りは2014年2月末日までとします。

    連絡先

    提出物に関する記載

    提案書などの提出物の送付先を記載します。

    (例)ご提案書の提出は下記にお願いします。
       情報システム部 山田 yamada@●●●.jp

    (例)お問合せはメールでのご連絡をお願いいたします。秘密事項など、ご回答できない場合もございます。


    RFPマニュアル 4.その他(案件個別の特記事項がある場合)

    下記の項目は、RFPに入れなくても問題ありませんが、もし開発会社に伝えたいことや提案してほしいことがある場合には共有します。

    将来を見据えた提案

    新規に開発するシステムの将来性、柔軟性を把握するための提案依頼があれば記載します。

    (例)基本要件以外で、今後の展開や実店舗との連携に関し、貴社で対応可能な範囲や拡張性についてご説明ください。(コンペの際に加点対象とさせていただきます)

    ハードウェア、ソフトウェアの運用

    ハードウェア、ソフトウェアへの対応について希望があれば記載します。

    (例)弊社が希望するシステムを運用するために必要なインフラ構成(ハードウェア、OS・ミドルウェア等、ネットワーク機器等)と、スペック情報についてご提示ください。

    社会制度への対応

    消費税等が変化した場合の対応など(カスタマイズの可否、費用についてなど)、法制度や社会制度への対応を知りたい場合には提案依頼として記載します。

    ユーザー調査、考察、検討

    ECサイトを利用するユーザーの行動モデルを調査・検証している場合に記載します。「調査の結果、ユーザー導線を実現するためこのようなサイト構成にしてほしい」などの要望がある場合にも明記します。

    画面資料

    実現する機能の開始の画面イメージや遷移フローがあれば添付します。

    外部委託

    開発業務を第三者に委託する場合の条件について記載します。

    特殊要件

    独自の業務や運用方法について記載します。その他、一般的ではないと思われる仕様についても記載し、事前に開発会社に共有します。

    (例)商品コードは6ケタで管理しています。前半2桁は商品の種類を表し、後半4桁は初回購入や定期購入などのコースを示しています。

    プレゼンフィー

    プレゼンフィーについては、支払の有無を記載します。プレゼンフィーは無いことが一般的です。

    業務フロー

    受注、入金確認、商品ピックアップ、配送、返品対応など、業務フローを記載します。

    評価指数

    提案書の評価の基準を設けている場合には記載します。


    さいごに

    弊社のお客様では、専門コンサルを入れて綿密に作成されたRFPを持っている企業様もいれば、まったく初めてだからRFPを作成する段階から相談に乗ってほしいという企業様もいらっしゃいます。

    RFPは完璧に仕上げる必要はありません。IT系の企業でも抜け漏れのないRFPを作成するのはむずかしいもの、RFPの精度にこだわってプロジェクト開始が遅れたら本末転倒です。ある程度資料にまとめて、足りないところや埋められないところ、第三者のアイデアがほしいところは、開発会社と二人三脚で進めていきましょう。

    ECサイトをリプレースしたい、O2Oシステムを構築したいなどのご要望で、RFPを送っていただけたらご提案に伺いますので、お気軽にお問合せください


    この記事を書いた人
    巻 千鶴

    エスキュービズム・ホールディングス 業務推進室にて、財務/法務/経営企画などを担当。営業から始まり、カタログ編集長、Webサイトや印刷物のディレクションなど誰よりも幅広いキャリアを持つ。


    運営者

    • 株式会社エスキュービズム
    • 〒105-0011 東京都港区芝公園2-4-1芝パークビル A館 4階
    • TEL : 03-6430-6730(代表)
    • HP:https://s-cubism.jp/